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サブ画面は一石三鳥! 4K120Hz+4K1K液晶搭載ゲーミングノート「ROG Zephyrus Duo 15 SE」(Impress Watch)

 ASUSが2画面ゲーミングノート「ROG Zephyrus Duo 15」を発売したのは2020年8月のこと。それからたった半年で、最新スペックとなった新型「ROG Zephyrus Duo 15 SE」が新たに投入された。6月下旬発売で、価格は54万5,273円(税別)を予定する。

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 2画面のうち、メインディスプレイが120Hzの高リフレッシュレートに対応し、そのほかのスペックも向上している。見た目から良い意味で異彩を放ち、悪い意味では色物に見られがちな本機だけに、実際の使用感がどうなのかと気になる人も多いだろう。

 今回は発売に先駆けてお借りした検証機で、本機の実力と魅力を探っていきたい。

■ 4K120Hzを支える圧倒的ハイスペック

 「ROG Zephyrus Duo 15 SE」のスペックは下記のとおり。

 CPUは最新のZen 3アーキテクチャを採用した、8コア16スレッドのRyzen 9 5900HX。GPUはGeForce RTX 3080で、最新かつハイエンドなスペックが並ぶ。さらにメインメモリは32GB、ストレージはNVMe SSD 1TB×2と申し分ない。

 加えて、ディスプレイは4Kで120Hzの高リフレッシュレートに対応したもの。4Kで120Hzに対応するディスプレイ単体製品もまだ数少ないなか、ノートPCで実現するのは非常に価値がある。解像度やリフレッシュレートが上がれば、処理能力も相応に必要となるが、このスペックなら実用的という判断なのだろう。

 ここまででも十分すごいのだが、本機の最大の特徴となるのがサブディスプレイの存在だ。3,840×1,100ドットのサブディスプレイは、メインディスプレイを縦方向にほぼ半分にしたようなサイズ。小さいように思えても、実際にはフルHDの2画面分を上回る解像度になる。リフレッシュレートは一般的な60Hzにとどまるが、メインディスプレイにはなかったタッチ操作に対応している。

 これだけの内容を詰め込んで、重量は約2.5kgと、15.6型ゲーミングノートとしては標準的な範囲に抑えている。筐体サイズは奥行きが若干長めながら、ほかはむしろコンパクトな部類。とくに厚さが20.9~23.0mmというのは、ハイエンド構成にサブディスプレイまでつけていることを思えば驚異的な薄さだ。それでいて有線LANも搭載しており、妥協がない。

■ デスクトップPC顔負けの処理能力を実現

 まずは基本性能をチェックしていく。ベンチマークテストに利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2508」、「3DMark v2.17.7137」、「VRMark v1.3.2020」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.1」。

 本機は専用ソフト「Armoury Crate」を使い、性能の調整ができる。静音の「サイレント」、標準の「パフォーマンス」、高性能な「Turbo」の3種類があり、ほかに自分で細かく設定できる「手動」と、OSの設定に準ずる「Windows」がある。初期値は「パフォーマンス」で、ACアダプタ未接続時は「Turbo」と「手動」を選べなくなる。

 今回のテストでは、「サイレント」、「パフォーマンス」、「Turbo」でベンチマークテストを実施。バッテリテストについては標準設定となる「パフォーマンス」を利用した。

 全般を通して、CPUのテスト結果が良好だ。「Cinebench R23」では、シングルコアで高いスコアを発揮しているだけでなく、マルチコアでもMP Ratioで9倍以上の結果が出ている。マルチコア処理時も冷却が間に合っており、しっかり性能を発揮できているのがわかる。デスクトップCPUも顔負けというしかない。

 GPUもモバイル向けとしては極めて高性能で、デスクトップ向けのGeForce RTX 3060 Tiに近い性能を発揮している。これが280W出力のACアダプタでまかなわれるのだから、電力効率も相当に良い(ノートPCで280Wはかなりのものではあるが)。

 ゲーム系ベンチマークテストの結果を見ると、4K解像度では「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」では「やや快適」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では「非常に快適」となっている。120Hzで表示することを思うと、せめて最高評価はほしい。高いフレームレートを出したいなら、ゲームによっては画質をぐっと下げる必要はありそうだ。

 動作モードについては、「パフォーマンス」から「Turbo」にすると、CPUクロックは最高値が100MHz近く上がり、GPUは最高クロックを維持する時間が長くなっている。その分、ファンの回転音が大きくなっているので、冷却を強化して性能を稼いでいるのがわかる。

 「サイレント」は逆に、ファンの回転音が明らかに小さくなっている。CPUの最高クロックは1GHzほど下がり、GPUもクロックが半分程度に落ちる時間が長くなっている。

「Armoury Crate」の設定画面

 バッテリ持続時間は、画面の明るさ50%、NVIDIA Battery Boostオフの設定で、オフィスユースは4時間35分、ゲーミングは1時間2分となった。仕事で会議に持ち出す程度は問題なくこなせそうだが、ゲームプレイ時はACアダプタ接続が前提と思っておくほうがいい。

 ストレージは1TB SSD×2の構成。今回の試用機はRAID 0構成となっていたが、実際の製品ではRAIDは使われないという。そのためストレージの計測データは参考程度に見ていただきたい。仮にRAIDなしで半分の性能と見ても、かなり高性能なことは想像できる。

■ サブディスプレイに3つの利点を発見

 ここからは実機を見ていくが、まずは本機の特徴である2画面の仕様を評価していきたい。ScreenPad Plusと呼ばれるサブディスプレイは、キーボードの上部にあり、メインディスプレイを開くと同時に少し起き上がる。メインディスプレイの手前にサブディスプレイ、その手前にキーボードが来て、リストレスト部がない、という独特な形状になる。

 サブディスプレイはタッチパネルにしてはめずらしく非光沢で、表面が白っぽく感じられるほど強めの非光沢処理が施されている。メインディスプレイとは違い、起き上がる角度が浅く、天井の照明の反射を受けやすいことを考慮しているのだと思われる。実際に使ってみると、色表現的にはネガティブだが、視認性は良好だ。

 OSからは純粋に2番目のディスプレイとして認識されるので、画面拡張位置を上や横に持ってくることも可能(物理的な配置は変えられないので、初期設定どおりに下に拡張が一番いいとは思う)。画面の明るさやスケーリングの拡大率も、メインディスプレイとは別に独立して設定できる。なおショートカットキーで画面表示のオン/オフもできる。

 このサブディスプレイ、筆者はゲーマー視点で3つの利点があると感じた。

 1つ目は、純粋にサブディスプレイとしての活用。メインディスプレイでゲームを動かしながら、ほかの操作ができる。Webブラウザを配置して情報を検索しながらプレイしたり、配信ツールをサブディスプレイに配置して使うことも可能だ。しかもタッチ操作もできる。

 2つ目は、排熱処理。サブディスプレイが少し起き上がり、本体から離れることで、本体側の空いた部分が広い放熱板として活用されている。そこを触るとかなり熱いが、わざわざサブディスプレイの向こう側に触れる状況もない。サブディスプレイ自体に熱が伝わる感じもほとんどない。さらにキーボードが手前にあるおかげで熱伝導しづらく、高負荷時でもわずかに上段が温かい程度で済んでいる。

 3つ目は、サウンド。サブディスプレイの向こう側になる位置に2つのスピーカーが配置されているのだが、うまく壁になってくれるおかげで、音の広がりを感じさせてくれる。詳しくは後述するが、本機は本当にサウンドが良質だ。

 注意点もある。サブディスプレイを配置するためにキーボードが手前側に押しやられたかたちになり、さらにタッチパッドが右端に寄せられている。ほとんどのノートPCは中央手前にタッチパッドがあるので、慣れるまでは位置関係に戸惑う。

 ただこのタッチパッドにはおもしろい仕掛けがあり、左上部分を押すとタッチパッド部分にテンキーの表示が浮かび上がる。本来はテンキーがある位置にタッチパッドを配置したので、タッチパッドをテンキーとしても使えるようにした、というわけだ。普段は単なるタッチパッドとして使い、必要な時だけテンキーモードに切り替えられるのは良いアイデアだと思う。

 また一般的なノートPCならタッチパッドの左右に位置するはずのリストレスト部も、本機にはない。代わりに専用のリストレストが同梱されており、必要に応じてキーボードの手前に置いて使うようになっている。筆者の場合、本体が薄型なので、なくてもとくに困るほどではないと感じた。

■ ゲーミングノートPCとして見事な作り込み

 では改めて本体全体を見ていく。筐体は背面にロゴが描かれているものの、ベースカラーも含めてブラックで統一されており、自己主張は弱め。天面はフラットでLED装飾もないので、ビジネスでの使用にも何ら支障はない。筐体も薄型なので、畳んで持ち運ぶのにもストレスがない。

 天面は押すとへこみやすく、液晶部分を開いてねじる動きにも少したわむ。弱いというよりは薄いという印象で、天面への圧迫は少々不安が残るものの、普段の開閉動作で強度に不安を感じるほどではない。

 メインディスプレイは15.6型で4Kと高精細で、明暗のコントラストがはっきりしていて美しい。視野角も極めて広く、光量も50%で十分明るく感じられる。さらに120Hzのリフレッシュレートと応答速度3ms(オーバードライブあり)で、スクロール表示もにじみなく滑らか。4K120Hzだからと無理を感じる部分はなく、ゲームでも動画視聴でもパーフェクトな仕上がりと言っていい。

 キーボードはアイソレーションタイプ。ストロークは浅めで、しっかりしたクリック感があるが、音はかなり静か。スペースキーのような長いキーの端を押しても真っすぐ入力される。英語キーボードではあるが、配置もオーソドックスで使いやすい。フルカラーのキーボードバックライトも搭載しており、キーの文字部分だけが綺麗に光る。光り方は「Armoury Crate」でカスタマイズできる。

 サウンドは極めて良好。ASUS製のノートPCはどれもサウンドの質が高いと感じるが、本機はそのなかでも格別だ。音楽を聴くと中・高音はメリハリがあり、人の声や楽器の音が1つ1つ明確に聞こえる。ノートPC向けの小型スピーカーにありがちな、耳障りな高音や籠った音質もなく、ステレオ感や音の広がりもしっかりある。

 スピーカーは筐体の奥側、サブディスプレイの向こう側になる位置に2つと、底面の手前左右に2つ。奥のものは高音重視の軽い音で、底面のものはやや低音重視の音が出ている。1つ1つを聴くと物足りないのだが、4つがそろうことでバランスのいい音にまとまる。スピーカーの位置がサブディスプレイの裏になることで、音がユーザーに直線的に届かず、それによって音をうまく広げているように感じる。

 注意して聴くと低音の弱さには気づくが、ノートPCとしては十分出ているほうだし、良い意味でうまくごまかせている。ボーカル曲やオーケストラなど何を鳴らしてもそこそこ聴けてしまうし、ボリュームを上げても音質が破綻しない。いい音で聴きたいときは小型の外付けスピーカーで……という気持ちにならないくらいには満足度が高い。

 騒音は、低負荷時にはかすかにファンの回転音が聞こえる程度。高負荷になるとファンの回転数が上がっていくが、サーッというホワイトノイズ系の音で、耳触りな風切り音は少ない。動作モードを「Turbo」にすると音量が一段と上がるものの、ゲーミングノートPCとしてはようやく標準的な音量といったくらい。「パフォーマンス」で使うなら、ゲームの音を出してしまえば許せる範囲だ。

 ただ排熱自体はかなりのもので、ファンがある底面の奥側は高負荷時にはかなり熱くなる。側面や背面の排気口は相当な熱量になるので、高負荷時に持ち運ぶさいには注意。やけどするほどではないが、掴み続けられる温度でもない。

 ACアダプタは280Wのものと、USB Type-C接続の100Wのものが付属する。ゲームプレイなど高負荷での使用時は280Wのものを使うべきだが、オフィスユースなどでは100Wで事足りるので、使い分けもできる。

■ 2画面を活かしつつ、ゲーミングPCとして妥協のない作り込み

 サブディスプレイの存在により色物的な存在と思われがちな本機だが、ゲーミングノートPCとしての作り込みという点では、究極まで作り込もうという意思が感じられる。高性能なだけでなく、ディスプレイやキーボードの品質、排熱処理やサウンド、そして筐体サイズと、どこを切っても妥協点が見えない。

 その上で、サブディスプレイをただ載せるだけでなく、排熱処理やサウンドでポジティブな効果を生み出そうというアイデアもすばらしい。強めの非光沢処理も、初見では「こんなに強くかけなくてもいいのでは?」と感じたが、実際に使うとこれでいいとわかる。相当な試行錯誤があっただろうし、その判断基準が快適なゲームプレイに置かれているのも伝わってくる。

 ゲーミングノートPCとして弱点の見えない本機だが、唯一惜しいのは日本語キーボードの採用がないこと。価格的にも台数の出る製品でないことは明らかなので、世界共通のグローバルモデルとしての展開になるのはやむを得ない……というのはわかるのだが、高価だからこそもう一歩と期待したくなる気持ちもある。

 2画面というコンセプト自体は、実際に触れてみると想像以上に良い。筆者だと上画面にゲームなどを表示させつつ、下画面でWebブラウザとテキストエディタを出して仕事ができる。自分に近い画面でテキストが見やすいので、高い処理能力と相まってプログラマ向きなのでは、とも思う。

 最後に筆者の感想として、こんな意欲的なデザインの製品を何度も投入してくれるメーカーの姿勢に感謝したい。PCはCPUやGPUの供給元が限定されているため、どのメーカーも性能は横並びになりがち。しかし本機のような特殊な製品を出すのも、メーカーとしてはリスクが大きい。そこに妥協なく挑戦してくれることが、PCファンとして、ゲーマーとして、本当にありがたい。決して気軽に買える価格ではないが、1台でも多く売れてほしい、と願いたくなるマシンだ。

PC Watch,石田 賀津男

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