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世界一の資産家になったマスク氏、中国とは相思相愛-今のところ – Bloomberg

Chinese President Xi Jinping and Tesla CEO Elon Musk. Photo illustration: 731; Photographers: Iori Sagisawa/Pool/Getty Images (Xi); Patrick Pleul/DPA/AP Photo (Musk)

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中国当局は昨年2月10日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ休業措置を解除したが、交通網は引き続き遮断され、国内の大半はひっそりとしていた。だが米テスラの「上海ギガファクトリー」は違っていた。

  トヨタ自動車やドイツのフォルクスワーゲン(VW)など他の外国自動車メーカーが中国での操業を完全に再開できない中で、テスラ上海は生産再開第1週に電気自動車(EV)を約1000台製造。3月までに休業前より多い週3000台に生産を増やした。

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「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」(2021年1月18日号)

写真イラスト:ジャスティンメッツ;写真:ブルームバーグ; シャッターストック

  テスラの急速な生産正常化は、上海工場の建設計画を発表した2018年以降の中国政府との関係のたまものだ。税控除や低金利融資、中国事業の完全所有許可、驚異的なペースで広大な施設を建設するための支援策など、他の外国企業が得ることの難しい「特典」をテスラは幾度となく引き出した。

  テスラが、中国を同社にとって最重要の外国市場に変えることができたのは政府の手助けがあったからだ。直近の業績報告によれば、中国はテスラ売上高の約2割を占める。そして、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は今月、世界一の資産家となった。最も重要なのは恐らく、テスラが他のどんな外国企業より、猛烈な発展を遂げている中国テクノロジー業界の中心に近づいているということだ。

  中国政府に関する限り、テスラとマスク氏は全て正しいことをしてきた。この記事ではインタビューの求めに応じなかったマスク氏だが、中国の豊富な人材と野心的なEV計画を大仰に支持。テスラの中国部門も習近平国家主席の経済政策目標とはっきりと歩調を合わせている。

  テスラの存在感が中国で高まるにつれ、マスク氏が習主席お気に入りの外国人資本家になったのかどうかという疑問が沸くのは当然のことだ。コンサルティング会社APCOワールドワイドの大中華圏担当会長、ジェームズ・マクレガー氏は習主席の経済戦略下で「外国企業はかなり良い機会に恵まれるが、全ての先端技術を中国製にすることが究極の計画だと認識する必要がある」と指摘。マスク氏が「両目を開いて進むことを望んでいる」と述べる。

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テスラの「上海ギガファクトリー」

写真:Costfoto / Barcroft Media / Getty Images

  テスラ社内で慎重に進められていた中国に関する議論が変わり始めたのは17年だ。中国政府と密接なつながりのある巨大テクノロジー企業テンセント・ホールディングス(騰訊)がテスラに5%出資したのがこの年の3月だった。上海工場建設に向け最大の難関となったのは、マスク氏が譲らなかったテスラによる100%保有だ。

  1990年代以降、折半出資の合弁を通じ外国の自動車メーカーを受け入れてきた中国だが、時がマスク氏に味方した。米中貿易戦争が激化していた2018年4月、国家発展改革委員会(発改委)は自動車事業における50%という外資規制は22年までに撤廃され、EV専業についてはすぐに外資規制が免除されると発表。その3カ月後、テスラは上海市政府と年産50万台の能力を持つ工場の建設で合意した。

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中国製「モデル3」(上海工場での納車イベント)

写真家:Aly Song / Reuters

  上海工場着工後の19年半ば、テスラは中国事業の抜本的見直しに着手。テスラの中国部門は今、米国本部に直属する独立部門だ。上海工場建設を統括した中国生まれの朱暁彤氏が中国部門を率いるようになると、朱氏は独立性を高め、テスラの他部門との違いを際立たせ始めた。

  社内の問題だとして匿名を条件に取材に応じた現・元従業員によれば、朱氏はすぐに可能な限り電子メールを中国語で書き始めるよう指示。大半の部門は朱氏直属で、米国と直接やり取りすることは厳しく制限されている。職場での地位が低いスタッフでも問題があれば直接自身に伝えるようにと以前から言ってきたマスク氏に、朱氏の許可なしにメッセージを送れば処分もあり得るという。テスラの担当者は中国・本部間の「つながりを妨げる措置はない」としている。

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「モデル3」のオーナーにあいさつするマスク氏(上海)

写真家:Aly Song / Reuters

  こうした部門再編はまた、国営の中国中央テレビ(CCTV)で特派員だったグレース・タオ氏の力も強めた。従業員らによると、通信・政府の問題を扱う同氏の優先業務はテスラが政府上層部からの支持を保つようにすることだ。タオ氏が習主席にメッセージを送りたいと思えば、たった1つの仲介を経るだけで可能だと同氏が話したと従業員らは言うが、そんな主張をタオ氏がしたことはないとテスラの担当者の説明する。

  中国自動車業界のベテランたちは、トヨタやVWなど世界をリードするメーカーが何十年も苦労を重ねて得たものを、マスク氏がわずか数年で勝ち取った巧みさに感嘆している。だが、こうした称賛には重要な注意事項が付く。マスク氏は「とてもうまくゲームをしてきた」が「テスラが成功したのは、テスラの成功が中国の利益だからだ」というのが元クライスラー幹部で今は上海のコンサルティング会社オートモビリティーのCEOを務めるビル・ルッソ氏の見立てだ。

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中国製「モデル3」の欧州向け輸出を祝うイベント(2020年10月)

写真家:Ding Ting / Xinhua / Getty

  (ブルームバーグ・ニュース北京支局のスタッフ、ヘイズ・ファン氏は昨年12月に中国当局に拘束される前にこの記事に貢献した)

原題:Elon Musk Loves China, and China Loves Him Back — for Now(抜粋)

(原文は「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」誌に掲載)

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